盛会に終えた第25回とかちの大収穫祭 第一部

帯広支部 編集部部長 岡田美佳

令和6年10月28日、第25回となる『とかちの大収穫祭』が北海道ホテルで行われました。
午前10時からサッポロウエシマコーヒー様の協力を頂き食品展示会と食器即売会が行われ、同時に知識研修として古川建設(株)ドリームヒルトムラウシ事業所所長・高倉豊様による「エゾ鹿の枝肉解体実習」と(公)とかち財団ものづくり支援部・水谷香子様による「エゾ鹿肉の保存条件における品質への影響について」の講話が行われました。シカ肉は牛肉と比べて骨も細く肉の酸化や変色も早いため繊細な扱いが必要ではありますが、その技術はとても勉強になりました。

午後から全日本司厨士協会北海道地方本部 参与・加藤和彦氏によるエゾ鹿肉のデモンストレ-ションが行われ、低音調理でしっかりドリップの出ない調理技術を披露してくださいました。加藤さんにお伺いしたところ、このようにお話してくださいました。

「ぼくがコックになった頃のフランス料理は鹿の肉は焼くか煮込むかのどちらかの方法しかなかったので調理に課題と感じていました。コックさんにとってジビエというのは素材を見極めるところから始まり、調理法はローストであれば、『ポアブラードソース』が定番でした。煮込みであれば赤ワインをたっぷり使った『鹿肉のシベ』でした。しかし今は鹿肉の研究も進み、狩猟から解体、保存の方法まで詳しく理解出来るようになっています。安全で安心して食べられる鹿肉を今の時代に合わせたフランス料理にしたく低温調理器を使用。

一品目『エゾ鹿のもも肉サラダ仕立て クミンの香り立つドレッシング』モモ肉のローストを薄切りにし、バルサミコとスパイスを合わせたドレッシングを作り、野菜と合わせ肉にのせた料理。二品目『エゾ鹿のロースト赤玉ねぎのソース』ロース肉は、古典フランス料理のソースを現代の感覚で軽めの甘酸っぱいソースにして仕上げました。苦労したのは、鮮度の良いエゾ鹿肉の本来の味を消さないような味のソースを作ること」エゾ鹿本来の味を残しつつ旨みを引き立たせるスパイスのアイデアが勉強になりました。

最後の一品はカヌレ。試食と説明で終わりましが、材料はフランスで教わったレシピそのままを公開。作り方もとても丁寧に説明してくださいました。
お店の代表ともなるカヌレをなぜ公開してくれたのか?

「私が38年前にフランスに行って覚えて来たものを、少しでも仲間に伝えたい!美味しい物はみんなで食べましょう。カヌレの元祖!は私ではなく、私にカヌレを教えてくれたフランスにあるのです。みんなで作ってくれる事が、私は嬉しいのです。オリジナルはその先にあると思っています」と。私たち料理人の心がときめくお話に感動しかありませんでした。
大先輩である偉大な加藤シェフの熱い想いを私たちも受け継いでいきたいと思いました。